母子父子家庭、寡婦が利用できる!便利な母子父子寡婦福祉資金貸付金とは?

母指父子家庭では収入の少ないケースが多く見られ、「子供を大学に入学させたいけどお金がない」、「子供の結婚式を挙げたいのに貯蓄が少ない」といったことが起こってしまいます。

そんな時に利用したいのが「母子父子寡婦福祉資金貸付金」。都道府県が主体となった制度で、一定の条件を満たせば無利子や低利子でお金を借りることができるのです。

ここではそんな「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」の、制度の概要や手続きの流れ、注意点などを解説します。

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」とは?

「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」とは、「配偶者のない女子又は配偶者のない男子であって現に児童を扶養しているもの等に対し、経済的自立の助成と生活意欲の助長を図るとともに、扶養している児童の福祉を増進すること」を目的とした制度で、各都道府県あるいは中核都市などの指定都市が、無利子又は低利子で、目的に応じて資金を貸し付けてくれるものです。

貸付金の種類は子供の就学資金や就学準備金、生活資金や結婚資金など12の項目に分類され、どの目的でお金を借りるかによって提出する書類や借入金額の上限などが変わります。

もちろん借入なので後々返済しなければならないのですが、利子がなかったり低かったりするので、とても利用しやすい制度になっています。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の種類と対象とは?

貸付金の種類は12通りあり、その対象と内容は次の通りです。

貸付金の種類 貸付対象 内容
(1) 事業開始資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父
・母子/父子福祉団体
・寡婦
政令で定める事業を開始するのに必要な資金
※設備、什器、機械等の購入等
(2) 事業継続資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父
・母子/父子福祉団体
・寡婦
現在営んでいる事業継続のための運転資金
※商品、材料の購入等
(3) 修学資金 ・母子家庭の母が扶養する児童
・父子家庭の父が扶養する児童
・父母のいない児童
・寡婦が扶養する子
学校(高等学校・大学・高等専門学校・専修学校)に就学させるために必要な資金
※授業料、書籍代、交通費等
(4) 技能習得資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父
・寡婦
事業の開始や会社等への就職のため、必要な知識技能を習得するために必要な資金
※ホームヘルパー、パソコン、栄養士等
(5) 修業資金 ・母子家庭の母が扶養する児童
・父子家庭の父が扶養する児童
・父母のいない児童
・寡婦が扶養する子
事業の開始や会社等への就職するため、必要な知識技能を習得するために必要な資金
(6) 就職支度金 ・母子家庭の母または児童
・父子家庭の父または児童
・父母のいない児童
・寡婦
就職するために必要な資金
※直接必要な被服、履物等及び通勤用自動車等の購入
(7) 医療介護資金 ・母子家庭の母または児童(介護は児童除く)
・父子家庭の父または児童(介護は児童除く)
・父母のいない児童
・寡婦
医療又は介護を受けるために必要な資金
※受ける期間は1年以内
(8) 生活資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父または児童
・寡婦
母子家庭又は父子家庭になって7年未満の者の生活を安定・継続する間又は失業中の生活を安定・継続するのに必要な資金
※知識技能の習得期間中/医療・介護の期間中
(9) 住宅資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父
・寡婦
住宅に必要な資金
※建設/購入/補修/保全/改築/増築
(10) 転宅資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父
・寡婦
住宅の貸借に必要な資金
(11) 修学支度資金 ・母子家庭の母が扶養する児童
・父子家庭の父が扶養する児童
・父母のいない児童
・寡婦が扶養する子
就学、修業するために必要な資金
※必要な被服等の購入
(12) 結婚資金 ・母子家庭の母
・父子家庭の父
・寡婦
扶養する子の婚姻に必要な資金
※扶養する子は20歳以上であること

ちなみに寡婦とは、「配偶者のない女子で、以前配偶者のない女子として児童を扶養していたことのあるもの」のことをいいます。

厚生労働省の資料によると、平成28年度の貸付実績は「母子福祉資金」で172億3,578万円(33,133件)、「父子福祉資金」で4億8,617万円(1,086件)、「寡婦福祉資金」で3億7,950万円(570件)で、貸付金の約9割が児童の就学資金関係とのことです。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の限度額と据置期間、償還期間、利率は?

このように12種類に分かれている母子父子寡婦福祉資金貸付金制度ですが、それぞれ限度額や据置期間、償還期間、利率が異なり、次の通りです。

貸付金の種類 限度額 据置期間 償還期間 利率
(1) 事業開始資金 2,850,000円
団体4,290,000円
1年 7年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(2) 事業継続資金 1,430,000円
団体1,430,000円
6か月 7年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(3) 修学資金 高校:月額52,500円
短大:月額90,000円
大学:月額96,000円
※私立自宅外通学の場合
卒業後6か月 20年以内
専修学校5年以内
無利子
(4) 技能習得資金 【一般】月額68,000円
【特別】一括816,000円
運転免許460,000円
知識技能習得後:1年 20年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(5) 修業資金 月額68,000円
特別460,000円
技能習得後1年 6年以内 無利子
(6) 就職支度金 一般100,000円
特別330,000円
1年 6年以内 親の場合
保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
児童の場合
無利子
(7) 医療介護資金 【医療】340,000円
【特別】480,000円
【介護】500,000円
6か月 5年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(8) 生活資金 【一般】月額 103,000円
【技能】月額 141,000円
知識技能習得後、医療/介護終了後、生活安定期間の貸付、失業中の貸付期間満了後6ヶ月 技能習得:20年以内
医療又は介護:5年以内
生活安定貸付:8年以内
失業:5年以内
保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(9) 住宅資金 通常:1,500,000円
特別:2,000,000円
6か月 6年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(10) 転宅資金 260,000円 6か月 3年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
(11) 修学支度資金 小学校:40,600円
中学校:47,400円
国公立高校等:160,000円
修業施設:100,000円
私立高校等:420,000円
国公立大学・短大:380,000円
私立大学・短大:590,000円
6か月 修学:20年以内
修業:5年以内
無利子
(12) 結婚資金 300,000円 6か月 5年以内 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%

ちなみに据置期間とは「元金の返済が猶予となる期間」のことで、償還期間とは「返済期間」のことです。

このように据置期間、償還期間、利率ともに良心的で、非常に利用しやすい制度となっています。

母子父子寡婦福祉資金貸付金利用の流れは?

では、実際に母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用したいとなった場合の流れについて確認してみましょう。

  1. 各都道府県/指定都市/中核市の担当窓口に相談する
  2. 申請書類の準備をする
  3. 保証人の選定をする
  4. 借受人、連帯借受人、連帯保証人との面接を受ける
  5. 申請をする
  6. 審査を受ける
  7. 貸付が決定する
  8. 借用書、口座振替書を提出する
  9. 貸付金が交付される

各貸付対象に含まれていることを確認したら、自治体の相談窓口(「子育て支援課」や「保健福祉事務所」など)にいって相談をします。

そして申請書類を準備しながら保証人の選定をし、面接を受けた後に申請をします。

その後審査を受け認められれば借用書、口座振替書を提出すれば貸付金が交付される、といった流れです。

申込み時の書類はたくさんあるのでここでは割愛しますが、戸籍謄本や住民票、申請者の所得証明書や印鑑証明書、家計費内訳書などが必ず必要で、その他貸付の種類によって別途必要書類が変わります。

ちなみに相談から貸付金交付までにおよそ1か月掛かりますので、この点には注意しましょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用する際の注意点は?

最後に母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用する際の注意点ですが、まず一つは貸付される(借入する)ものなので、後で返済しなければならないということです。給付金ではないため、貰って終わりではないということを覚えておきましょう。

次に奨学金をもらっている、授業料の免除を受けている場合などには利用することができないことも覚えておきましょう。そして借り入れ後にこのような状況となった場合にも、すぐに担当窓口に伝える必要が生じます。

その他貸付金の種類によりますが、例えば事業継続資金を借りた場合には、事業をやめた時に担当窓口へ連絡が必要ですし、修学資金を借りた場合には休学、退学の際に連絡が必要となります。

このように、借入の目的に関連することが起きた場合には、担当窓口に連絡することを忘れないようにしましょう。連絡せずにそのままほおっておくと、場合によっては一括返済の請求が掛かる場合があります。

まとめ

以上、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度について、概要や手続きの流れ、注意点などを解説しました。

借入までに1か月程度掛かってしまうのが難点ですが、償還期間や利息の面でカードローンとは比較にならないくらい優れたものになっています。

ですから生活費が足りない、修学させたいけど貯蓄少なくて不安などと行った場合には、まず担当窓口に相談してみることをおすすめします。

きっとより良い方向に向かっていけるよう、制度の利用を含めて考えてくれると思いますよ。こちらのページはwww.fukushihoken.metro.tokyo.jpの情報を元に作成されています。

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