さまざま金融機関が提供している「定期預金担保貸付」はお金を借りる手段として有効です。
例えば、「友達の結婚式なのにお金がない!」手元が寂しいときに急な出費が発生することもあります。
キャッシングやカードローンを利用すると高い金利を支払う必要がありますが、定期預金担保貸付であれば金利負担を少なくしてお金の調達が可能です。
定期預金担保貸付はどのようなものか、メリットやデメリット、各金融機関の金利比較を解説していきます。
この記事の目次
簡単に理解!定期預金担保貸付とは?
定期預金に関する借入は個人だけでなく経営者も気になるポイントであるため、まずは定期預金担保貸付についてわかりやすく解説します。
定期預金を担保にしてお金を借りる
定期預金担保貸付とは、定期預金のお金を担保にしてお金を借りる方法であり、銀行・利用者ともにメリットがあります。
通常だと、財産形成貯金である定期預金は満期になるまで引き出せないため、貯蓄目的の用途しかありませんが、この定期預金担保貸付を使えば、自身が貯蓄している定期預金から低金利で借りることができるのです。
利用条件は定期預金を預けていること
金融機関によって詳細は異なりますが、
基本的に、
- 総合口座通帳を保持している
- 総合口座通帳内の定期預金に残高がある
などの条件を満たしていれば定期預金担保貸付を利用することが可能です。
※年齢制限がある金融機関もあります。
金融機関では定期預金担保貸付という名前ではない
注意が必要なことは「定期預金担保貸付」という名称のサービスはなく、金融機関ごとに名称が変わることです。
各金融機関によって同様のサービスの名前が変わるため通称として使われており、例えば、ゆうちょ銀行では「貯金担保自動貸付け」という名前で、みずほ銀行では「総合口座貸越」と呼ばれます。
※定期預金の名称も「スーパー定期」など金融機関によって変わるため、利用前に確認してみましょう。
定期預金担保貸付の3つの利用ポイント
定期預金担保貸付を活用するためには、どのように使うか知っておくことが大切であるため、利用するときのポイントを説明していきます。
定期預金担保貸付の申込み方法
定期預金担保貸付の借入方法は非常にシンプルで、専門通帳や定期預金証書式の場合は窓口で手続きを行うことが必要です。
定期預金を利用している方の大半が所持している定期預金通帳と普通預金通帳が一体になった「総合口座通帳」があれば、最初から自動貸越機能が備わっています。
定期預金に残高がある状態で、普通預金の残高を下回る金額を引き出そうとすれば、自動的に定期預金担保貸付で借入れできるでしょう。
残高不足でも通常通り出金できてしまうため、借入れをしている事実に気づきにくく、余計に借入れする可能性があるため要注意です。
定期預金担保貸付の限度額
定期預金担保貸付の限度額は、基本的に定期預金残高の9割ですが、定期預金の金額が多くても各金融機関が設定する限度額以上を引き出すことはできません。
一般的に限度額は200万円から300万円に設定されていることが多く、最も限度額が大きい金融機関は新生銀行であり、限度額は500万円です。
限度額が大きいためメリットはありますが、新生銀行は変動金利であり金利は1.88%と高いため、注意しなければなりません。
定期預金担保貸付の返済方法・借入期間
定期預金担保貸付の返済方法は普通預金口座に借入れ金額を入金すれば完了するため、普通預金口座が返済口座になるということです。
定期預金担保貸付で借入れをしている通帳の残高はマイナス表示され、このマイナス表記が消えるまで入金すれば返済を完了できます。
返済期限は定期預金の満期までであり、定期預金を開始したタイミングによっては数年間になるケースも多いでしょう。
基本的には満期になるまで自分の好きなタイミングで、通帳のマイナスが消えるように返済(入金)していきます。
押さえておきたい定期預金担保貸付の6つのメリット
定期預金担保貸付を利用しようか迷っている人は、まずはどのようなメリットがあるか知っておくことが大切ですので、ここからはメリットについて説明していきます。
メリット1.低金利で借り入れ可能
定期預金担保貸付の最大のメリットは金利が非常に低く、他の借入れ方法よりも利用しやすいことです。
緊急時にお金を借りる手段の代表例にキャッシングやカードローンがありますが、金利の相場は年利15%前後になります。
しかし、定期預金担保貸付の場合であれば年利1%台で借入可能であり、定期預金で貯蓄している人であれば、金利で損をする金額も少なくて済みます。
メリット2.定期預金を解約しなくても済む
この定期預金担保貸付のメリットには定期預金を解約しなくても済むことも含まれるでしょう。
定期預金を利用している銀行が定期預金担保貸付のサービスを行っていれば、どうしてもお金を借りないといけない状況でも、定期預金を解約する必要はありません。
せっかく定期預金を続けていた人も、どうしてもお金を用意しないといけないときに、仕方がなく定期預金を解約してしまう人も珍しくないでしょう。
この定期預金担保貸付を使えば、今まで貯蓄していた定期預金を有効活用し借入れができます。
メリット3.定期預金の9割まで借入れできる
キャッシングやカードローンなど、お金を借りる方法で気になることといえば、「いくら借入れできるか」ということです。
借入れするサービスであれば限度額が決まっており、どれくらいの金額借入れできるかでそのサービスを利用するか決める方も多いでしょう。
この定期預金担保貸付のメリットは定期預金の9割まで借入れでき、仮に100万円貯蓄していれば限度額は90万円ということになります。
利用者の状況にもよりますが、定期預金を長く続け定期預金残高が多い人ほど、有利になる仕組みになるでしょう。
メリット4.自動的に借入れ・返済が可能
金融機関から借入れをするときの懸念点の1つに「返済方法」があり、手動で入金する必要があれば、返済日に遅れてしまうことも考えられるでしょう。
定期預金担保貸付では、普通預金に返済金額分が入金されていれば自動的に返済にあてられるため、給料日などに返済金額が振込まれていれば自動の返済が可能です。
また、普通預金の残高以上の金額を引き落とそうとすると、自動的に不足分が融資されるため、お金で困ることもなくなります。
メリット5.審査不要
金融機関から借入れを行うときの最大の不安は「審査に通過できるか」どうかですが、定期預金担保貸付は非常に有利です。
キャッシングやカードローンのように金融機関から借入れを行おうとする人は、既にローンを組んでいたり、クレジットカードの支払いが滞っていたりなど返済能力に難があることが少なくありません。
定期預金担保貸付は審査がないため、返済能力がないと判断され、他の金融機関の借入れ審査に落ちても条件を満たせば利用できます。
気になる利用条件ですが「総合口座通帳を持ち、定期預金に残高がある。」だけで、この条件を満たせば誰でも定期預金担保貸付を利用する事が可能。
メリット6.信用情報(ブラックリスト)に載らない
通常の金融機関が提供する借入れを行うと、金利が高いだけでなく信用情報に履歴が付くリスクを追わなければなりません。
信用情報に記載されている情報がブラックであれば、さまざまなローンやクレジットカードの契約なども行えなくなってしまいます。
この定期預金担保貸付は利用しても信用情報に一切載らないため、信用情報を気にする人でも安心して借入れできることはメリットといえるでしょう。
ブラックリストとは?
ある一定期間返済が滞ったり、破産したりした場合、「事故情報(異動情報や延滞情報、ネガティブ情報ともいいます)」が登録されてしまいます。この情報が、「ブラック情報」、「ブラックリスト」と呼ばれているのです。
引用:www.adire.jp
元は自分のお金なんだけどね
注意が必要な定期預金担保貸付の4つのデメリット
メリットを知れば定期預金担保貸付を気軽に利用しやすくなり、お得に運用できますが、大切なことは定期預金担保貸付も借金であり、計画的に利用しなければならないことです。
安全に定期預金担保貸付を利用するためにも、ここからは定期預金担保貸付のデメリットについて説明していきます。
デメリット1.借入利息が膨らみやすい
定期預金担保貸付も定期預金を担保にしているとはいえ、借入利息が発生していることを忘れてはいけません。
低金利で定期預金の満期までに返済すれば問題ありませんが、制約が甘いため長期間借入れてしまう人も少なくなく、低金利でもトータルした利息の金額が大きくなってしまう可能性が高いです。
金利が安いことに甘んじることなく計画的な利用を行うことが求められるため、定期預金の受取利息と借入利息のバランスもよく考えましょう。
デメリット2.自動で融資されてしまうことがある
定期預金担保貸付は自動で融資されるメリットがありますが、借入れをしている感覚なくお金を引き出している事態に陥ることもあります。
例えば、定期預金担保貸付を利用している状態で、残高を確認せずに残高以上の金額を引き出してしまうと、自動融資が実行されてしまいます。
自分が意図しない自動融資を防ぐためにも、定期預金担保貸付を利用しているときは普通預金の残高の確認が大切です。
デメリット3.定期預金の残高が少ないとあまり借りられない
定期預金担保貸付の限度額は、定期預金残高の9割であり、元から定期預金の残高が少ない人は、借入れできる金額も少なくなってしまうでしょう。
デメリット4.満期までに返済しないと定期預金が減っていく
定期預金担保貸付の返済期限は、定期預金の満期までであり、満期までに返済できない場合は、定期預金から強制的に返済されていくため、せっかく満期まで貯蓄したとしても残高は減ってしまいます。
徹底比較!大手金融機関4社の金利
大手の金融機関で定期預金担保貸付を利用したときの金利はどれくらいなのでしょうか。利用する金融機関によって金利は変わります。
主要金融機関4社の金利と、利用限度額や他の借入れサービスの比較について説明していきます。
三菱UFJ銀行の金利
金利一覧 | |
定期預金の金利 | 0.02% |
定期預金担保貸付の金利 | 定期預金の金利+0.5%=0.52% |
限度額 | 定期預金残高の90% ※最高200万円まで |
カードローンの借入利率 | 1.8%~14.6% |
イオン銀行の金利
金利一覧 | |
定期預金の金利 | 0.02% |
定期預金担保貸付の金利 | 定期預金の金利+0.5%=0.52% |
限度額 | 定期預金残高の90% ※最高300万円まで |
カードローンの借入利率 | 3.8%~13.8% |
みずほ銀行の金利
金利一覧 | |
定期預金の金利 | 0.01% |
定期預金担保貸付の金利 | 定期預金の金利+0.5%=0.51% |
限度額 | 定期預金残高の90% ※最高200万円まで |
カードローンの借入利率 | 2.0%~14.0% |
ゆうちょ銀行(郵便局)の金利
金利一覧 | |
定期預金の金利 | 0.01% |
定期預金担保貸付の金利 | 【担保定額貯金の場合】 定期預金の金利+0.25%=0.26% 【担保定期貯金の場合】 定期預金の金利+0.5%=0.51% |
限度額 | 定期預金残高の90% ※最高300万円まで |
カードローンの借入利率 | なし |
定期預金担保貸付の金利比較まとめ
比較した主要な金融機関の中で金利が最も低い金融機関はゆうちょ銀行ですが、主要の金融機関ではそこまで大きな違いがないことがわかります。
カードローンの金利と比較すると、その差は一目瞭然。カードローンの金利は借入れしている金額が大きければ低くなりますが、借入れ金額が少なければ金利の差は20倍以上になる可能性もあります。
もし定期預金で貯蓄しているのであれば、定期預金担保貸付の存在を知っておいて損はありません。
定期預金担保貸付まとめ
定期預金担保貸付は数多くある借入れ方法の中でもメリットが多くお得な方法といえますが、大切なことはリスクが少ないとはいえ、定期預金担保貸付も「借金」であるということです。
実際に、普通預金の残高がマイナス表記になっていることに慣れてしまい、借入額が膨らんでしまう人が多くいます。返済期限が長く、返済を先延ばしにしていることも借入れで失敗する大きな原因になっているでしょう。
例えば、定期預金担保貸付以外の目的ローンや借入れの延滞などを一時的に回避するために使うと効果的です。まずは定期預金担保貸付についてよく知り、メリットとデメリットを頭に入れて安全な借入れを行うようにすると良いでしょう。